クレオソート油:木材の防腐剤としての役割と危険性
建築物研究家
クレオソート油とは、木を腐食から守るために木材に塗布される薬品の一種です。木材に浸透して防腐効果を発揮します。
建築を知りたい
クレオソート油はどんな物質ですか?
建築物研究家
クレオソート油は、コールタールを蒸留して作られる液体です。強い刺激性があり、暗褐色をしています。
建築を知りたい
クレオソート油は危険な物質なのですか?
クレオソート油とは。
クレオソート油とは、コールタールを蒸留して得られる、強い刺激を持った暗褐色の液体です。防腐剤として利用されており、木材の枕木や電柱などの、施工後に交換がしにくい物に多く使われてきました。クレオソート油は、カーボンブラックの原料にもなり、レーザープリンターやコピー機で使われるトナーもクレオソート油から作られています。しかし、クレオソート油は多環芳香族炭化水素を大量に含んでおり、発がん性があると考えられ、危険な物質として規制されています。
クレオソート油とは何か?
クレオソート油とは、コールタールを蒸留して得ることができる液体のことです。防腐剤として利用されていることで知られており、無定形炭素と呼ばれるカーボンブラックの原料にもなります。強い刺激を持った暗褐色の液体で、結晶性物質や水溶性物質を除去して作られています。
レーザープリンターやコピー機で使われるトナーもカーボンブラックのため、クレオソート油は重要な素材です。大半がタイヤのゴムの原料に使われていますが、残った物が木材の防腐剤として使用されています。枕木や電柱など、施工後に交換がしにくい物に利用されてきたのが主な例です。
クレオソート油は、多環芳香族炭化水素を大量に含むため、発がん性があると考えられ、危険な物質として規制されています。
クレオソート油の用途
クレオソート油は、さまざまな用途で使用されています。その主な用途は、防腐剤としての使用です。木材を腐食から守るため、枕木や電柱などの屋外で使用される木材に塗布されます。また、レーザープリンターやコピー機に使われるトナーの原料としても使用されています。トナーは、紙に文字や画像を印刷するための粉末状の物質です。クレオソート油は、トナーの原料となるカーボンブラックを製造するために使用されます。
クレオソート油は、多環芳香族炭化水素を大量に含むため、発がん性があると考えられ、危険な物質として規制されています。そのため、使用や保管には注意が必要です。
クレオソート油の危険性
クレオソート油の危険性
クレオソート油は、多環芳香族炭化水素(PAH)を大量に含むため、発がん性があると考えられ、危険な物質として規制されています。PAHは、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やす際に発生する物質で、空気中や食品中にも存在しています。PAHは、DNAを損傷させ、発がんを引き起こす可能性があります。クレオソート油の危険性は、石炭や石油などから作られるコールタールを蒸留して得られるため、PAHが大量に含まれていることに由来します。クレオソート油は、木材の防腐剤として使用されていますが、PAHが木材から蒸発して空気中に放出される可能性があります。また、クレオソート油は皮膚や呼吸器からも吸収され、発がんのリスクを高める可能性があります。
クレオソート油の規制
クレオソート油の規制
クレオソート油は、多環芳香族炭化水素を大量に含むため、発がん性があると考えられ、危険な物質として規制されています。日本では、労働安全衛生法や化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)によって規制されており、取り扱いには注意が必要です。
労働安全衛生法では、クレオソート油を製造、取扱い、貯蔵する事業場においては、作業者の健康を保護するための措置を講じることが義務付けられています。具体的には、クレオソート油を密閉容器に入れて保管すること、作業者は保護具を着用すること、作業場所の換気を十分に行うことなどが求められています。
また、化審法では、クレオソート油は「特定化学物質」に指定されており、製造や輸入には許可が必要となっています。また、クレオソート油を木材の防腐剤として使用する場合は、許可を受けた事業者でなければなりません。
クレオソート油の代替品
クレオソート油の代替品
クレオソート油は、その発がん性や環境への悪影響が懸念されるため、最近では使用が制限されています。そのため、木材の防腐剤としてクレオソート油の代替品が求められています。これまでに開発されたクレオソート油の代替品としては、次のようなものがあります。
・CCA(クロム銅ヒ素)処理CCA処理は、木材をクロム、銅、ヒ素の溶液に浸すことで、防腐効果を得る方法です。CCA処理は、クレオソート油より防腐効果が高く、環境への影響も少ないとされています。ただし、近年ではCCA処理でも発がん性物質の問題が指摘されており、使用が制限される傾向にあります。
・ACQ(アルカリ銅キレート)処理ACQ処理は、木材を銅とキレート剤の溶液に浸すことで、防腐効果を得る方法です。ACQ処理は、CCA処理より発がん性物質のリスクが低く、環境への影響も少ないとされています。また、ACQ処理は、木材の強度を損なわないという特徴もあります。
・ボロン系防腐剤ボロン系防腐剤は、木材にボロン化合物を浸透させることで、防腐効果を得る方法です。ボロン系防腐剤は、クレオソート油やCCA処理、ACQ処理よりも発がん性物質のリスクが低く、環境への影響も少ないとされています。また、ボロン系防腐剤は、木材の強度を損なわないという特徴もあります。