平安の美学「寝殿造り」
建築物研究家
寝殿造りとは、平安時代に中国文化の影響を受けた天皇や貴族階級の邸宅建築様式のことを指す。その特徴はどのようなものか説明できるかな?
建築を知りたい
寝殿造りの中心となるのは寝殿(正殿)で、その両側と後方にたいのや(対屋)が配置されています。また、南には前庭や池があり、釣殿や泉殿を設けているのも特徴的です。
建築物研究家
そうだね。寝殿造りは、天皇や貴族階級の権威や格式を表現した建築様式であり、その特徴的な配置や装飾は、平安時代以降の日本の建築に大きな影響を与えた。
建築を知りたい
寝殿造りは、平安時代の貴族の生活様式や文化を反映した建築様式なんですね。今となっては、歴史的な建物を訪れたり、資料を調べたりすることでしかその様子を垣間見ることができませんが、当時の様子を想像するととても興味深いです。
寝殿造りとは。
寝殿造りとは、平安時代に中国の文化の影響を受けて天皇や貴族階級の邸宅に用いられた建築様式のことです。正殿と呼ばれる主屋は南側の庭に面して建てられ、両側と後方にたいのやと呼ばれる建物が配置されます。南には、前庭や太鼓端が立っている池、釣殿や泉殿などがあり、渡廊でそれぞれをつないでいます。東三条殿や京都御所、宇治の平等院鳳凰堂などが代表的な例です。1893年に開かれたシカゴ・コロンビア万博では、日本の代表的な建築物として平等院鳳凰堂の2万分の1模型が建築展示され、フランク・ロイド・ライドなど多くの建築家に影響を与えました。
寝殿造りの特徴
寝殿造りの特徴は、平安時代に中国文化の影響を受けて発展した、天皇や貴族階級の邸宅建築様式のことです。中央に寝殿(正殿)と呼ばれる主屋が南側の庭に面して建てられ、その両側と後方に対屋(たいのや)が配置されています。
寝殿造りの特徴は、南に前庭や太鼓端のかかった池(遺り水)などがあり、釣殿(つりどの)や泉殿(いずみどの)を設けて渡殿(わたどの)でつなぎ、それぞれの建築物とも渡り廊下でつながれている点です。
寝殿造りの代表的な例としては、東三条殿、京都御所、宇治の平等院鳳凰堂などが挙げられます。
寝殿造りの歴史
寝殿造りの歴史は、平安時代の初期に遡ります。当時は、中国文化の影響を受け、天皇や貴族階級の邸宅は、中央に寝殿(正殿)と呼ばれる主屋が南側の庭に面して建てられ、その両側と後方に対屋(たいのや)が配置されるという様式が一般的でした。寝殿造りの特徴は、南側に前庭や太鼓端のかかった池(遺り水)などがあり、釣殿(つりどの)や泉殿を設けて渡殿(わたどの)でつなぎ、それぞれの建築物とも渡り廊下でつないでいる点にあります。この様式は、平安時代中期以降には、寺院や神社にも取り入れられ、日本建築の代表的な様式の一つとなりました。
寝殿造りの代表例
寝殿造りの代表例として挙げられるのが、東三条殿、京都御所、宇治の平等院鳳凰堂である。東三条殿は、平安京の中心に位置する天皇の居所で、寝殿造りの基本形とされる。寝殿の周囲に東対、西対、北陣、南殿などの建物が配置され、回廊で結ばれていた。
京都御所は、平安京の北方に位置する天皇の居所で、東三条殿をモデルとして造営された。寝殿の周囲には東対、西対、北陣、南殿などの建物が配置され、回廊で結ばれていた。
宇治の平等院鳳凰堂は、平安時代末期に建立された仏教寺院で、寝殿造りの影響を受けた建築様式となっている。本堂である鳳凰堂は、中央に寝殿と呼ばれる主屋が南側の庭に面して建てられており、その両側と後方に対屋が配置され、南には前庭や太鼓端のかかった池(遺り水)などがあり、釣殿や泉殿を設けて渡殿でつなぎ、それぞれの建築物とも渡り廊下でつないでいる。
寝殿造りの影響
寝殿造りの影響は、平安時代の日本から世界中に広がりました。その影響は、中国、朝鮮、東南アジア、ヨーロッパ、アメリカなど、世界中の建築様式に見ることができます。
中国では、寝殿造りが唐代に導入され、唐代の宮殿建築や寺院建築に影響を与えました。朝鮮では、寝殿造りが高麗時代に導入され、高麗王朝の宮殿建築や寺院建築に影響を与えました。東南アジアでは、寝殿造りがカンボジア、タイ、ビルマ、ベトナムなどの国々に導入され、これらの国々の宮殿建築や寺院建築に影響を与えました。
ヨーロッパでは、寝殿造りが19世紀に日本から導入され、アール・ヌーボー様式やジャポニズム様式などの建築様式に影響を与えました。アメリカでは、寝殿造りが19世紀後半に日本から導入され、フランク・ロイド・ライトなどの建築家に影響を与えました。フランク・ロイド・ライトは、寝殿造りの影響を受けて、水平線と直線を強調した住宅建築を設計しました。
寝殿造りは、世界中の多くの建築家に影響を与え、世界中の建築様式の発展に寄与しました。
寝殿造りの現代的意義
寝殿造りは、単なる建築様式にとどまらず、現代においてもその影響力を保ち続けている。例えば、日本庭園の造園様式は、寝殿造りの庭をモデルにしており、池や飛び石、木々や花々を巧みに配置することで、自然の美しさを表現することが特徴である。また、和室のインテリアにも、寝殿造りの影響が見られる。畳や障子、襖など、簡素でありながら機能的な家具や建具は、寝殿造りの洗練されたデザインを引き継いでいる。
さらに、寝殿造りは現代の建築にも影響を与えている。例えば、建築家のフランク・ロイド・ライトは、寝殿造りの開放的な空間や自然との調和を重視した設計思想に影響を受け、有機建築の理念を提唱した。また、建築家の丹下健三は、寝殿造りの建築様式をヒントに、東京カテドラル聖マリア大聖堂や国立代々木競技場などの建造物を設計した。